ブラミルク@幡ヶ谷~甲州街道沿いの嘗ての牧場を訪ねて~
(2026年5月23日開催)
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ミルク一万年の会は、2026年5月23日に酪農会館会議室および東京都渋谷区幡ヶ谷周辺において、「ブラミルク@幡ヶ谷」を開催しました。当日は天候にも恵まれ、これまでのブラミルクシリーズで最多となる40名が参加しました。静岡県三保半島や駿河地域からの参加者も加わり、明治から昭和初期にかけて幡ヶ谷で発展した都市酪農の歴史を学び、その足跡をたどる貴重な機会となりました。 開会にあたり、前田代表は開会挨拶で、「幡ヶ谷は東京の都市化が進む中で、皇居周辺から移転してきた牧場と、三保半島出身者が新たに開いた牧場が集中した、全国的にも非常にユニークな地域」と説明。 その後、前半は4つの講演を聴講した後、後半は2班に分かれてかつての牧場跡地を巡る街歩きという構成で実施されました。 も く じ 第一部 講演会 講演1:「明治後期から大正期の東京(幡ヶ谷)における三保半島出身者の酪農への参入」 静岡県立大学国際関係学部 教授 高畑 幸先生 講演2:「明治・大正・昭和(前期)の老舗阪川牛乳店の歴史」 日本酪農乳業史研究会 顧問 矢澤好幸氏 講演3:「末裔(5代目)からみた阪川牛乳店」 阪川洋一氏 講演4:「幡ヶ谷地域の近代史、街歩きコース・オリエンテーション」 法政大学江戸東京研究センター客員研究員 金谷匡高先生 第二部 散策(街歩き)
講演1:「明治後期から大正期の東京(幡ヶ谷)における三保半島出身者の酪農への参入」静岡県立大学国際関係学部 教授 高畑 幸先生
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最初の講演では、静岡県立大学国際関係学部の高畑幸教授が、「明治後期から大正期の東京(幡ヶ谷)における三保半島出身者の酪農への参入」と題して研究成果を発表しました。2年間にわたる文献調査や聞き取り調査を通じて、少なくとも32名の三保半島出身酪農家の存在が確認されたことが報告されました。また、三保半島における農業環境の制約や産業構造の変化、交通・港湾インフラの整備などを背景に、多くの人々が東京へ進出し、幡ヶ谷を中心に「静岡組」と呼ばれる酪農家コミュニティを形成していたことが紹介されました。個々の牧場経営者の足跡や、アメリカ移民とのネットワークを活用した乳牛導入の可能性なども示され、参加者は都市酪農発展の裏側にある人々の挑戦と交流の歴史について理解を深めました。 ![]()
講演2:「明治・大正・昭和(前期)の老舗阪川牛乳店の歴史」日本酪農乳業史研究会 顧問 矢澤好幸氏
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続く講演では、日本酪農乳業史研究会顧問の矢澤好幸氏が、幡ヶ谷を代表する老舗である阪川牛乳店の歴史について解説しました。阪川牛乳店は明治33年に幡ヶ谷へ移転後、約3万坪の敷地に近代的な設備を整備し、地域酪農の発展を支える中核的な存在として成長しました。地域の牧場との連携による需給調整や株式会社化など、先進的な経営手法を取り入れていたことが紹介されました。また、会場には牛乳瓶や古文書などの貴重な資料も展示され、参加者は当時の酪農産業の姿をより身近に感じることができました。 ![]()
講演3:「末裔(5代目)からみた阪川牛乳店」阪川洋一氏
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3番目の講演では、阪川牛乳店の末裔である阪川洋一氏が登壇し、一族に伝わる歴史や家業への思いについて語りました。かつての繁栄から戦後の苦難まで、家族の記憶をたどりながら、創業150年という節目を迎えた現在、「阪川牛乳」の復活に挑戦したいという将来構想が披露されました。参加者からは期待と実現に向けた応援の声が寄せられ、地域の歴史を未来へつなぐ新たな可能性が感じられる講演となりました。 ![]()
講演4:「幡ヶ谷地域の近代史、街歩きコース・オリエンテーション」法政大学江戸東京研究センター客員研究員 金谷匡高先生
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最後の講演は、法政大学江戸東京研究センター客員研究員の金谷匡高氏より、東京酪農の発展過程と幡ヶ谷地域の位置づけについて解説がありました。明治維新後の東京では、武家地の空き地や良好な水環境を活用して牧場が発展し、その後の都市化や規制強化に伴い郊外へ移転していった歴史が紹介されました。幡ヶ谷はその移転先として発展し、多くの牧場が集積した重要な地域であったことが説明されました。一方で、宅地化や戦災、業界再編などにより牧場は次第に姿を消し、現在ではその痕跡を見つけることが難しくなっている現状についても紹介されました。 ![]()
第二部 散策(街歩き)
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街歩きでは、初台駅周辺から幡ヶ谷駅周辺までを巡り、かつての搾乳場跡地や酪農ゆかりの場所を訪問しました。参加者は講演で得た知識を現地で確認しながら理解を深めるとともに、地域に残された歴史の痕跡に触れることができました。参加者同士の活発な意見交換も行われ、酪農史や地域史への関心を共有する有意義な時間となりました。 ![]() 終了後には交流会も開催され、講師や参加者による情報交換が行われました。今回のブラミルク@幡ヶ谷は、幡ヶ谷に刻まれた酪農の歴史や三保半島出身者が果たした役割を再認識するとともに、地域に残る酪農文化の価値と、その歴史を次世代へ継承していく重要性を共有する貴重な機会となりました。 ![]() |






